大人しそうで冷酷な人

プロフィール：　K.Hさん、30歳女性、専業主婦

サイコパスという言葉を聞いた時、映画「羊たちの沈黙」に出てくる殺人鬼レクター博士を最初は思い浮かべましたが、よく調べてみると反社会性人格障害のことをいうのだと知りました。私には縁がないであろうと思っていた矢先、付き合っていた彼氏の間に子どもを授かったことで事件がおきます。

当時、結婚を前提に付き合っていた彼氏へ妊娠したことを告げると急に顔色が暗くなるので生んでもよいか問いただしてみると「兄弟と話し合って決めたい。」と返事をするのでした。

彼には双子の兄がいて、その兄と仲がいいことは付き合っている時から知っていました。双子の弟である彼氏と比べると頭もよく、大学院を出て公務員になったという経歴の持ち主なため、社会的信用も高い人間でした。

私は彼に対して煮え切らない思いを残したまま返事を待つことになりました。

それから間もなく、彼氏から連絡があり電話に出てみると・・・。

「お兄さんと話し合って決めたんだけど、俺たちではすぐに子供を育てていける環境は作れないって言われたんだ。・・・だから、子どもは産まないでほしい。」

と説得される形となりました。

どうして私とは面識のない双子の兄を介入させて決断をせまるのか私にはわからず、結局その日は取り乱したまま電話を切ることになりました。

後日、彼が直接説得に来て話合うことになったのですが、いきなり彼が仕事を辞めると言い出したのです。女の勘か、それが何を意味するのか私はすぐにわかりました。

法律に精通している双子の兄の入れ知恵です。

私が未婚で子供を産んだとしても、彼が無職になれば養育費の請求ができないことを知っていたのです。

とどめには「その子が俺の子である証明は？」と言われる始末で、明らかにどう責任逃れをしようか話合ってきたようにすら思えます。

次第につわりも酷くなり実家に帰ることで胎児を守ることが出来たのですが、もし実家に帰らないで一人暮らしを続けていたら・・・。

その後、両家顔合わせの時に双子の兄と面会したのですが見た目は大人しそうで余計なことはしゃべらない好青年という感じでした。

それから間もなく双子の兄も結婚をし子どもを授かるのですが、奥さんが妊娠中に不倫をして離婚という事態になりました。

離婚の話をする際に奥さん側の家族から双子の兄に浴びせられた罵声が「あんたは血の通った人間じゃない」だそうです。